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大阪、屋久島

妻の個展を無事終え、僕は一人、朝一番に飛行機に乗り込み、屋久島に戻った。

一週間ぶりの屋久島。小雨。薄い霧があたりを覆っている。
島全体を覆う独特の緊張感のようなものが、一週間制作を離れ、大阪でコンビニのお菓子やデパ地下のお総菜などを食べ続けて緩んでしまった僕の体を締め付ける。

フェリー乗り場から家に向けて車を走らせながら、今日からの制作の段取りを確認する。小雨。薄い霧。道路沿いに咲く、赤く毒気を纏った彼岸花。途切れることのない緑の世界。非現実的な世界がいつの間にか、僕にとってどこよりも現実的な場所になっていることに気付いた。ここで僕は、仕事をしているのだ。

アトリエに到着し、ざっと荷物をほどいて、家の前のバナナをチェックする。一週間前より、少し実を大きくしたバナナはまだ収穫されていなかった。「ありがとう。まだいてくれて。」 バナナ好きの僕のために地主さんが収穫を遅らせてくれたのでは、もちろんない。収穫にはまだ少し早いだけなのだ。

バナナもほどほどに、早速制作に取りかかる。作業机が妙に落ち着く。久しぶりの作業が、とても充実したものに思えた。

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by kei-jewellery | 2010-09-30 00:00

心斎橋、高田裕子展

妻の個展。二日目を大盛況のうち終える。
一緒に在廊している僕も力が入り、なぜだろうか、所々が筋肉痛で痛い。

会場の永井画廊は心斎橋筋商店街の中、永井ビルの四階にある。両隣には老舗のお茶屋さんとおすし屋さんがあって、ビルの一回にはサマンサタバサが入っている。そして、真正面には大丸百貨店を見ることができるこのあたりは、新しいものと古いもの、世界各国の人やものがぐちゃぐちゃに入り混じった。カオスのようなところである。朝早くから商店街の中では中国語が飛び交い、深夜になるとストリートミュージシャンたちは歌を歌い始める。

在廊中、僕の学生時代の友人が訪ねてきてくれた。久しぶりの再会だったけれど、製薬会社で働いている彼は自信に満ち溢れていて、すごく頼りがいのある雰囲気を身にまとっていた。今となっては僕とは全く違ったことをしているけれど、彼はしっかりと前に進んでいて、カッコいいなと思った。大切なことはきっと、何でもいいから、気合を入れて長い間続けることなんだろう。なんだか少しほっとする再会だった。
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by kei-jewellery | 2010-09-24 23:30

大阪、神戸本町

大阪二日目、日中は家に閉じこもり、ひたすら個展の案内状を書きまくる。
実家にいる母と久しぶりに話をしながら、作業は続く。今回は、11月頭までの滞在だけど、製作の都合でどうしてもその間に二回、屋久島に帰らないといけないということを告げると、「いそがしいんやね」と、母が弾んだ声で言った。

夜中まで書きまくり、その日のノルマをこなし、僕はコンビニにでかけた。家から歩いて2分程のところにあるコンビニは比較的大きな交差点の角にあって、隣には九州のラーメン屋があり、残りの三つの角には京都のラーメン屋、中国のラーメン屋、そしてお約束のたこ焼き屋がある。僕は水色の看板のコンビニでコピーを何枚かとり、パティシエのプロデュースしたモンブランと有名居酒屋の味の焼き鳥を買って帰った。

次の日は朝から妻の個展の搬入。十回目の個展の十回目の搬入。問題なく作業を終える。
夜は友人のライブを聴きに元町へ。開演まで時間があったので、元町の町をさまようことに。ほとんど学生のころ以来の元町は意外なほどに印象が薄れてはいなかった。中華街で学生のころ、気が引けてしまってなかなか買うことのできなかった点心の出店を今回もスルー。ここには大阪とは少し違った文化があり、あのころと変わらず、海と山がすぐそばにある。

お腹がすいてきたので、水色の看板のコンビニでわかめのおにぎりと卵かけご飯風味のおにぎりを買って食べた。

僕がストリートでアクセサリーを売っていたころからの友人のmaoさんの歌と名古屋のキースジャレット、まるたいちくんのピアノ。とっても気持ちの良い、贅沢な時間だった。

つぎ、この町に来るのはいつなんだろう。夜の元町に僕はいる。
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山から海に向かって温かい風が吹き降ろしていた。
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by kei-jewellery | 2010-09-22 17:10

彼岸花、大阪へ

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妻の絵画の個展、僕のジュエリー展が大阪で開催される。
ノマド展が終わって少しも息をつく暇もなく、僕は個展のための製作と大阪に行く準備に翻弄される日々を送っていた。

大阪に出発する前日。朝起きるともうプリンターが動いている。妻がポストカードの印刷を行っているのだ。彼女の個展が僕のよりも2週間はやく開催されるので、その焦りようも半端ではない。おはよう、
という朝一番の表情がやけにシリアスだった。

僕のほうは、前日の深夜にようやく製作の終わりが、長いトンネルの先にではあるけれど、みえてきたような気がして、朝から少し落ち着いた気分だった。かなり久しぶりに眺める庭には先のとがった丸い形をした葉っぱと小さな白い粒をたくさんつけた雑草が生い茂っている。膝の丈ほどあるそれらは裏庭へ、そしてバジル畑のほうに勢力を広め僕の家の周りをぐるりと囲いつくす。どこからか種が飛んできたのだろうか、去年はなかったはずの場所に一本の彼岸花が赤く、毒気のある花をつけていた。家の前に乱立する南国の木々の隙間をぬける風が、はるか彼方にある台風によるうねりが中間の浜を強く打ち付ける音を運んでくる。

久しぶりのうねりに誘われて、ついつい海にでる。海は相変わらず真夏で、強い日差しが肌をさす。波は地球の呼吸だ。台風の強いうねりはリズムと強弱をつけて繰り返し、僕を通過していった。

数本の波をつかまえ、さくっと製作に戻る。たくさんの細かいパーツを磨いていく作業だ。隣ではまだプリンターが動き続けている。いよいよ個展だなという思いを抱きながらひたすら僕は小さな部品を磨く。すべてのジャンルを超える圧倒的なものを創りたい。そして、自分のスタイルとは違ったものでも、良いものを良いと思えるよう、心をオープンにしていたい。よいものはよい、うまいもんはうまいのだ。

夕方どうしても郵便局までいかないといけなく、妻と二人、尾の間まで車を走らせる。途中、湯泊の商店でポテトチップスののり塩味とうす塩味を買って、行き道にのり塩味を食べて、用事をすませ、そして帰り道にうす塩味を食べた。「ぜんぜん味が違うね。」「うん、ぜんぜん違う。今度は三種類ほど並行で食べてみようか。」「やりすぎよ。」西に沈む太陽が水平線をソフトに照らし、世界が黄金色にまどろむ中、僕たちは中間まで車をはしらせた。

そして、作業はまだまだ続く。郵便局の後、結局また海に入ったつけがまわり、製作は朝方まで続いた。

朝、二人ともギリギリまでかかって、何とか準備を終える。ペイタ、ノマドカフェ、ホヌと会うべき人たちに会って、空港に向かった。

道路沿いには赤や白、黄色の彼岸花が咲いている。相変わらず屋久島は綺麗だ。
今日から大阪。たくさんのことと繋がりたい。
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by kei-jewellery | 2010-09-19 08:42

屋久島ノマドカフェ展

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屋久島ノマドカフェ展、今日で無事終了しました。
たくさんの方々に観て頂くことが出来て、本当によかった。ありがとうございます。

来月からは、引き続き大阪gallely t.k.art展です。
大阪の皆様、お会いできるのを楽しみにしています!
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by kei-jewellery | 2010-09-13 23:05

夜光貝を削る日々

ここ数日間、夜光貝を使った作品に取りかかっていた。

アトリエの中で粉まみれになって奮闘している間、こうして夜光貝を使うようになるまでの、いろいろな巡り合わせや出会いなどがしみじみと頭の中を駆けめぐっていた。

夜光貝と僕との関わりは、今から思うと、「ああ、あのとき彼と出会ったのはそういうことだったんだ」とか「実は一番身近なところで夜光貝の作品を見続けていたんだな。」とか「制作に興味を持ち始めたとたん、ポンポンと貝を頂くことができたな」とか、全てが偶然のような必然のできごとで、それらはみんな、僕にとってとてもたいせつな人達との関係から生まれてきたもので、こんなふうにして、一つの大きな流れのようなものに乗って作品を創っていけるって凄く幸せだなと思った。
僕は屋久島の季節の中にいて、その中で繰り広げられるたくさんの営みがあり、そして、僕の作品はそのすべてに影響を受けている。

真夏の嵐のように部屋の中を舞い踊る貝の粉のなか、髪の毛を真っ白にさせながら僕はそんなことを考えていた。
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by kei-jewellery | 2010-09-10 00:04

よしっ

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ノマド展まであと少し。
よしっ。
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by kei-jewellery | 2010-09-05 23:11

スコール スコール

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今日もスコールがたくさん降って、空を洗い流していった。
秋かなー、もうすぐ。
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by kei-jewellery | 2010-09-04 23:07

星形ピノ

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屋久島展の打ち合わせでノマドカフェとホヌへ行く。
ノマドでの用事を終え、ホヌでの約束まで時間があったので、木工職人のYさんの職場件自宅を訪ねた。

天井の高い工房を抜け、自宅エリアのリビングに通されると、そこには4匹のトイプードルの赤ちゃんが待ちかまえていた。「か、かわいい、かわいすぎる」。時間を忘れ、しばし子犬たちとスキンシップをとる。ああ、展示会直前なのに、いったい僕は何をしているんだろう。ここは、案内状を渡して、用件のみですぐにホヌに行かないといけないんだ。ああだめだ、かわいい。すみません、写メ撮ってもいいですか。いいよいいよ、俺がだっこしようか。いや、そのままで、今凄く良い感じです。僕はYさんと奥さんの話に少しあやふやな相づちを打ちながら、子犬たちにカメラのピントを合わせる。ちょうどリビングの角に設置されたテレビからは昼のホームドラマが流れていて、机の下では親犬たちが鳴き続けている。この写真を撮りおわったらホヌに行こう。そして、アトリエに戻って、制作の続きをしよう。それじゃあ、と言おうとした瞬間、奥さんが、マンゴー食べていって下さい、と言った。そして、僕は反射的に答えていた。「いただきます」

Yさんが丹誠込めて育てられたマンゴーの官能的な味の余韻を引きずりながら、僕は帰路についた。
屋久島、大阪の巡回展まであと少し、昨日はPINOアイスの箱から星形のPINOが出てきた。大丈夫。うまく流れているはずだ。しかも、その星PINOを僕は妻にあげた。いいことあるだろう。
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by kei-jewellery | 2010-09-02 23:56


ケイ ナカムラ ジュエリーは屋久島発のジュエリーブランドです。作家・中村圭がジュエリーと写真と文章で、日々の美しさをお届けします。しずくギャラリーとホームページにて、作品を観て頂けます。


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